2026年8月31日、米国ワシントン州シアトルのワシントン大学(University of Washington)において、小田隆史准教授が「Web-GIS, School-Community Disaster Preparedness, and Geographic Literacy in Japan」と題するセミナー講演を行いました。
本セミナーは、米国北西部の沿岸災害やリスクコミュニケーションに関する研究を推進するCascadia CoPes Hubのコロキウムの一環として、ワシントン大学Center for Disaster Resilient Communitiesとの共催で開催されたものです。
米国北西部の沖合には、過去に巨大地震・津波を引き起こし、将来の巨大地震の発生も想定されているカスケード沈み込み帯(Cascadia Subduction Zone)が延びています。こうした災害リスクを背景に、ワシントン州やオレゴン州などの研究者や防災実務者らが、沿岸災害や地域防災、リスクコミュニケーションなどをテーマに研究・実践の交流を行っています。
講演では、日本におけるWeb-GISや地理空間情報を活用した防災教育の研究・実践について、学校安全や学校と地域が連携した防災を中心に紹介しました。東日本大震災の経験や日本の学校防災の課題を踏まえながら、ハザードマップやGISを活用して地域の災害リスクを読み解くことや、防災における地理的理解(geographic literacy)の重要性について報告し、参加者との意見交換を行いました。
あわせて、ワシントン大学に拠点を置くPacific Northwest Seismic Network(PNSN)を訪問しました。PNSNは、ワシントン州やオレゴン州を中心とする米国北西部の地震や火山活動の観測・研究を担うとともに、地震・火山とそれらがもたらす災害について、市民や学校を対象とした教育・アウトリーチにも取り組んでいます。今回の訪問では、地震観測・研究の成果を市民の防災意識や地域の備えにつなげる取り組みについて視察・意見交換を行いました。
さらに、シアトル市危機管理局(Seattle Office of Emergency Management)の危機対策室を訪問し、災害時の情報収集や関係機関との調整など、緊急時の対応体制について視察し、アマチュア無線家を中心とする市民ボランティア組織Seattle Auxiliary Communications Service(Seattle ACS)のメンバーらと意見交換を行いました。Seattle ACSは、通常の通信手段が被災した場合などに、市の緊急対応や地域コミュニティを支える通信手段の確保に取り組んでいます。今次訪問では、こうした市民による緊急通信支援のほか、平時からの訓練や地域コミュニティにおける災害への備えについて話を伺いました。
一連の訪問を通じて、巨大地震などの災害リスクを抱えるシアトル地域において、大学・研究機関、行政、市民ボランティアなど、多様な主体がそれぞれの専門性を生かしながら地域の防災を支える取り組みについて理解を深め、日本における学校・地域防災や防災教育との比較を行う機会となりました。




